子どもがチアダンスに行きたくないと言ったら?続ける・休む・辞めるを考えるポイント
「自分からチアをやりたいと言ったのに、最近は行きたくないと言う」
「レッスンに行く前は嫌がるのに、終わると楽しそうにしている」
「家では練習したがらない。このまま続けていいの?」
お子さんがチアダンスを嫌がるようになると、無理に連れて行くべきなのか、それとも辞めた方がいいのか、迷うこともあるでしょう。
ただ、「行きたくない」と「チアを辞めたい」は同じとは限りません。
一度行きたくないと言っただけで、「向いていない」「もう辞めた方がいい」と決める必要はありません。その反面、何度も嫌がっている状態を「せっかく始めたから」と押し切る必要もありません。
大切なのは、行きたくないという言葉だけで判断せず、お子さんが何を嫌がっているのかを少しずつ確認することです。
「行きたくない=チアを辞めたい」とは限らない

チアやダンスをしていると、踊ること自体は好きでも「今日は行きたくない」と感じることがあります。
たとえば、
- 知っているお友達がいなくて不安
- 振り付けについていけない
- 周りよりできないことが恥ずかしい
- チーム内の人間関係で気になることがある
- 練習がきつい
- 先生に注意されるのが怖い
- 発表会や大会が近く、負担を感じている
- 家で練習するのが嫌
- その日は単純に気が乗らない
- チア以外のことに興味が移っている
など、理由はいろいろ考えられます。
実際、チアに興味はあるものの、「知っている友達がいないから行きたくない」と話すお子さんについての保護者相談もあります。
他の習い事でも言えますが、踊ることは好きでも、練習へ向かうのが嫌だったり、行くのが面倒に感じたりすることはあります。それでも、踊り始めれば楽しいということもあります。
最初から「行きたくない=チアが嫌いになった」と決めつけず、その理由を見ていきましょう。
まずは「何が嫌なのか」を一緒に探す
お子さんが「行きたくない」と言ったら、まず理由を聞いてみましょう。
ただし、「なんで行きたくないの?」と聞くだけでは、うまく説明できないお子さんもいます。
そんなときは、
- 今日のレッスンで嫌だったことあった?
- 振り付け、最近難しい?
- お友達のことで困っている?
- 最近、練習が疲れる?
- 先生に何か言われて嫌だった?
- チアそのものを辞めたい?
- チアは好きだけど、今日は行きたくない感じ?
など、答えを決めつけない範囲で少し具体的に聞いてみる方法があります。
もちろん、「こう聞けば必ず本音が分かる」というものではありません。
お子さんの年齢や性格、普段の親子関係によっても話しやすさは変わります。すぐ答えが出なくても、普段の表情や会話を見ながら声をかけていきましょう。
発達心理学を専門とする早稲田大学教授の小塩真司氏も、習い事を辞めたいというお子さんについて、まず本人の話を聞くことの重要性を指摘しています。
また、こども基本法は、年齢や発達の程度に応じて、こどもが意見を表明する機会を確保し、その意見を尊重することを基本理念に掲げています。
こども基本法が家庭での習い事の判断方法を直接定めているわけではありませんが、お子さんの意思を軽く扱わないという考え方の参考にはなるでしょう。
レッスンの前後を含め、普段との違いを見る

理由を考えるときは、「行きたくない」という言葉だけではなく、レッスンの前後を含めたお子さんの様子も見てみましょう。
たとえば、
- 行く前は嫌がっていたけれど、レッスンには参加している
- 終わったあとは楽しそうに話している
- 家では好きな曲に合わせて踊っている
- 発表会を楽しみにしている
ということもあります。
逆に、
- レッスン中もつらそうにしている
- チアの話そのものを避けるようになった
- 特定の先生やお友達を強く怖がっている
- 以前と比べて表情や様子が変わった
といった変化が見えることもあります。
ただし、この違いだけで「続けるべき」「辞めるべき」と判断できるわけではありません。
お子さんによって表現の仕方は違います。「行く前だけ嫌なら大丈夫」という単純な基準を作るのではなく、普段との違いを見ながら本人の話を聞いていきましょう。
チアダンスだからこそ「行きたくない」理由もある
チアダンスでは、一人で踊るだけではなく、周りと振り付けや動きを合わせる場面があります。
そのため、
「自分だけ覚えられていない」
「周りよりできない」
と感じることもあります。
初心者が、最初からすべての振り付けを覚えたり、間違えずに踊ったりできるとは限りません。
「できないから行きたくない」と言ったからといって、すぐにチアに向いていないと決める必要はないでしょう。
大会を目指すクラスでは負担も変わる
同じ「チアダンス」でも、週に一度楽しく踊るクラスと、大会を目標にするチームでは活動内容が異なります。
大会を目指すチームの中には、練習やチーム活動に使う時間が多く、学校や自分の時間との両立が負担になるケースもあります。
また、
- 練習量
- 技術面での悩み
- チームで動きを合わせる難しさ
- 人間関係
などが「行きたくない」理由になることも考えられます。
ただし、何が負担になるかは一人ひとり違います。
「大会チームだから大変」「この状態なら辞めた方がいい」と一括りにせず、今のお子さんが何に悩んでいるのかを見ることが必要です。
家練を嫌がる=チアを辞めたい、ではない

「レッスンには行くけれど、家ではまったく練習したがらない」
実際に、チアダンスへ通うお子さんが自宅練習を嫌がり、保護者が「このままでいいのか」と悩む相談もあります。
家ではほとんど練習しなくてもレッスンは楽しんでいるという家庭もあれば、家でも自主的に練習するお子さんもいます。
家練をしないことだけを見て、
「やる気がない」
「もうチアを辞めたいんだ」
と判断する必要はありません。
一方で、上達するために自宅での復習が必要になる場面もあります。
ここで大切なのは、そのクラスが何を目指しているのかです。
楽しく体を動かすことを中心にしたクラスと、大会を目標にしているクラスでは、求められることも違います。
家練がどこまで必要なのか分からない場合は、先生に確認してみましょう。
保護者だけで考えず、先生や運営側にも相談する

お子さんが行きたくない理由は、家庭だけでは分からないこともあります。
特に保護者がレッスンを見ていない教室では、先生と家庭で見えている姿が違うことがあります。
そんなときは、
「最近、家で『行きたくない』と言うことがあるのですが、レッスン中はどうですか?」
と相談してみましょう。
たとえば、
- レッスン中は楽しそうか
- 最近困っている様子はないか
- 振り付けについていけているか
- クラスのレベルが合っているか
- お友達との様子はどうか
- 本人が楽しそうにしている場面はあるか
などを聞いてみると、家庭だけでは分からなかったヒントが見つかることがあります。
インストラクターは、いろいろなお子さんがレッスンする様子を見ている側でもあります。
「辞めるほどなのかな」と保護者だけで悩み続けるより、まず状況を共有してから今後を考えても遅くありません。
日本スポーツ協会も、子どものスポーツ活動について、子どもの様子を観察するものを含む「指導者と保護者のためのチェックリスト」を公開しています。
チアは好きでも、今の教室が合っていない可能性もある
お子さんが「行きたくない」と言う原因を、本人の努力不足だけにしないことも大切です。
たとえば、
- 今のクラスのレベルが合っていない
- 本人が求める楽しみ方とクラスの目的が違う
- 先生との相性が合っていない
- お友達との関係で悩んでいる
- 曜日や時間帯が生活に合っていない
といった可能性もあります。
実際に、同じチアダンスでも活動する場所を変えたあとに、お子さんが以前より楽しそうになったという保護者の体験談があります。
これは一家庭の例であり一般化はできませんが、「チアが合わない」と「今の環境が合わない」は分けて考えられることを示す一例です。
ダンスそのものは好きなのに、特定のチームへ行くことを嫌がっているなら、今の環境についても考えてみましょう。
入会後に初めて分かることもありますが、こうしたミスマッチを減らすためにも、スクールやチーム選びは重要です。
「行く」か「辞める」の二択にしなくていい

行きたくないと言われると、
「それでも連れて行く」
「もう辞めさせる」
の二択で考えてしまいがちですが、その間にも選択肢があります。
たとえば、
- 1回休んでみる
- 見学だけにする
- 先生と相談する
- クラスを変更する
- 少し活動から離れる
といった方法を取るのも一つの方法です。
休会制度や見学への対応、クラス変更ができるかどうかは、教室やチームによって異なるため確認してください。
また、発表会やイベント、大会などに向けて複数人で振り付けやフォーメーションを合わせている場合は、一人が休むことでチーム全体に影響することもあります。その時期に休みたい場合も、まず先生やチーム側に相談しましょう。
一度休むことも失敗ではない
ダンスが好きでも、気持ちが乗らず、少し離れたくなることはあります。
一度休める状況なら、距離を置いたことで「やっぱり踊りたい」と気づくこともあれば、別のことをやってみたいと気づくこともあります。
休むこと自体を悪いこととして扱う必要はありません。
辞めることも失敗ではない
せっかく始めた習い事なら、保護者として「もう少し続けてほしい」と思うこともあるでしょう。
しかし、実際にレッスンへ参加し、踊るのはお子さん本人です。
お子さん自身が「本当に辞めたい」とはっきり意思を示しているなら、その気持ちを軽く扱わないことも大切です。
続けること自体を正解にせず、辞めること自体を失敗にもしない。
理由を確認し、必要なら先生に相談し、休むことや環境を変えることも含めて考えたうえで、本人が辞めたいと考えているなら、辞めることも一つの選択です。
暴言・ハラスメント・いじめなどが疑われる場合は別に考える
先生が怖い、人間関係が嫌、という話の中には、単なる相性や一時的な行き渋りとは分けて考えるべきケースもあります。
暴力、暴言、ハラスメント、いじめ、安全上の問題などが疑われる場合は、「もう少し頑張れば慣れる」と同じ扱いにはしないでください。
日本スポーツ協会も、暴力・暴言・ハラスメント・差別などを、安全・安心にスポーツを楽しむことを害する行為として、スポーツ・ハラスメント防止の啓発を行っています。
心配なことがあれば、お子さんの安全を優先してください。状況によってはチームの責任者や運営者だけでなく、チーム外の相談窓口を利用することも検討しましょう。
「行きたくない」の理由を見ながら考えよう
お子さんが「チアダンスに行きたくない」と言ったとき、一度の言葉だけで続ける・辞めるを決める必要はありません。
何を嫌がっているのかを聞き、普段との違いを見て、家庭だけで分からなければ先生や運営側にも相談してみましょう。
続ける、少し様子を見る、休む、環境を変える、辞める。
最初からどれか一つを正解にするのではなく、今のお子さんに合う選択を一緒に考えることが大切です。